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ーーとある戦場……
自軍の正義を、自分の主張を、自分勝手な思いを、武器に籠めて振りかぶる
受け止める刃には、それらを否定する思いが、拒絶する勢いが、力になり弾き返す
そんな、身勝手な戦場で一つの影が平然と歩いていた
「…ふぅ、此処ももうじき終りますわね……」
呆気ない…とでも言うように、気だるそうな女性はただ歩いていた
飛び交う弾丸が上着の裾裂く、叫び声が耳に木霊する、勝者は次を求め走り
眼前に現れた、明確な殺意を放つ若き人狼が
「ふぅふぅっ、オレは…」
「いいですわ、名乗らなくても結構…此処はもう終りますわ、そちら敗北ですわよ。」
「そんな事は無いっ!一人でも立ち向かい己の騎士道を突き進む!」
聞く耳持たず、いや聞いている…聞いているからこそ否定の刃を振るい続け
「死に場所を探しているのですの?それでしたら、他を当りなさいな。私は死にたがりと刃を合わせる程、安くないですわ。」
悠然と、毅然と、明確に投げかけられる言葉に若き人狼は唇をかんだ
しかし、女性は見た…握りなおされる長剣は否定を、構える姿は決死を、鋭い眼光には殺意を宿し、刃は振り落とされたのだ
「はぁ、他を当ってといいましたわよね…まったく最近の男は品が無いと言うか、しょうがないですわねお付き合いして差し上げますわ。」
「はぁぁー!零度の牙よ、噛み砕け!」
氷気が長剣に宿り、大気を凍てつかせながら女性に襲いかかる
それを見た女性は腕を振り上げた。勢いよく振り上げられる腕には鎖が絡ませており、動きにあわせ何かが引きずられ姿を見せた
現れた物は…鉄球
「さぁ、沈黙させなさいオベリスク……そして戦塵よ、刃を持ち襲いなさい。」
「なぁっ?!」
その時、感じた疑問は2つ…後方より飛び込んできた棘付の鉄球だ、それを持ち自在に操れるのは限られた種族、人狼では扱えない
しかし、それより大きな疑問は紛れも無い答えへ導いた、周りの石に、捨てられた銃に、折れた長剣に刃が生じ襲い掛かってきた
咄嗟に攻撃の刃を振り打ち落としへと切り替えるが、刃は多く防ぎきれない、眼前には巨大な鉄の塊が容赦なく飛んできた
「っく、貴様!従属に成り下がったかッ!ぐぁっーー?!」
叫んだ瞬間、目の前の風景が二転三転ぐるぐると回る、気がつけば地面が目の前にあった
衝撃が内臓へと響き血を吐く、激痛は気絶さえさせてくれない、動きたくても身体は拒否を示すが、騎士の魂が強引にも身体を起こさせようと働いた瞬間…
「…っくそ、吸血鬼に成り下がった奴に…がぁ!」
無常に下ろされた鉄球は拳を砕いた、指が全て在らぬ方を向いている
武器がもてない、牙を折られた…嫌でも感じる実力の差が目の前に現れ…声がした
「さぁ、御終いですわね?肋骨が2本、足と腕を1本、拳を一つ、全身打撲程度でしょ?養生なさい…そうそう、貴方は若いのだから分らず屋の石頭の大人と同じ偏見はほどほどしなさい。」
「…何を言う!あいつ等は、滅ぼさねばならない敵だ…っく、そんな奴に気高き狼の魂を売った奴の言う事など!」
「ふぅ、そんな事を言っている間は、こんな下らない紛争は無くなりませんわね。人狼同士でだなんて……救えませんわね、いろいろと…」
倒れながら睨みつけていた人狼が最後に見たものは、哀しそうに戦場へと歩み始めた女性と…彼女へ襲いかかる同胞と、敵対する組織の姿
「「『戦場の混乱源』『人狼乃裏切り者』よ、覚悟せよ!!」
「多勢に無勢とは…手段を選んではどうです?女相手ですわよ?」
鎖が中を舞い鉄球が振り回される、それに吹き飛ばされ距離を取り、睨み合いが始まる
見逃さないように起き上がろうとする、だが…それまで激痛でハッキリとしていた意識が不意に揺らぐ、どうやら味方が搬送のため導眠符を貼ったようだ…薄れる意識の中で思い返す
『…偏見もほどほどにしなさい…』
言われて見ればそうだ、自分達は…何故憎んでいるのだろうかと……
目を閉じ仲間に身を任せ彼は眠りについた。
…とある終戦…
瓦礫が、討ち捨てられた武器が、残された遺体が…停滞の世界に不意に動きが生じる
「ふぅ…此処はもう大丈夫ですわね?」
荒れた大地に足跡をつけ辺りを見渡す、全身は傷だらけで疲労の色は人目で分るほど濃くでている、
「っ!流石に両軍相手は、キツイですわねぇ…オベリスクも修理が必要そうですし、久しぶりに家にでも帰ってみましょうか?」
鎖は欠けてひび割れ、鉄球は割れはし無いがもう限界を超えていた、武器破壊しなかったのが不思議なほどの破損だった
「此処最近は邪魔してやりましたし、しばらくは大人しくなるでしょし…何年振りかしら?あの子達元気かしらねぇ」
フラフラと鉄球を引きずり戦場を後にした